介護休業制度1回93日間が、3回まで分割可能に 介護離職ゼロ
2016/04/16
今、介護のために職を離れなければならない人が増えて、大きな問題となっています。
このようなケースは、親と同居していた独身男性が多いといいます。
これまでは身の回りの世話を親にしてもらい、なんの不自由もなく生活してきましたが、親が介護状態になると状況が一変してしまいます。
自分の身の回りのことに加え、親の対応もすべてやらなくてはなりません。
はじめのうちは、なんとか頑張っているのですが、体力的にも時間的にも追いつめられ、仕事と介護の両立ができなくなり、会社をやめざるを得なくなってしまいます。
背景には、不足する公共の介護施設、高額な民間介護施設、自由に休みがとれない職場の環境など、いろいろな問題があります。
平成22年に「育児・介護休業法」が施行され、育児や介護のときに会社を休業できる制度ができました。
介護休業制度については、「労働者は申し出により、要介護状態にある対象家族1人につき、常時介護を必要とする状態ごとに1回の介護休業をすることができる。期間は通算して(のべ)93日まで。」
とされています。しかし、2012年、実際に利用した人を調べてみると、雇用者の3%だったそうです。
問題は、「対象家族1人につき、1回につき93日まで」というルールにあると言われています。
1回休暇申請で93日間休業できることはうれしいことですが、約3ケ月の間、長期的に会社を休めば、会社に負担がかかり、その後の職場復帰も難しくなります。
症状は日々変化し、いい時、悪い時が繰り返しやってきて、少しづつ体力が落ちていきます。
また、介護を受けるための施設探しや、ケアマネージャーとの打ち合わせ、施設に入るための段取り、病気になったときの入院手続きなど、介護を行うには、とても1回の休暇で対応できることではありません。
そのような現状を踏まえ、介護休業の申請回数を3回まで分割できるように改定するそうです。
また、介護が終わるまでの間は、申請により残業を免除する仕組みも作るとのことです。
3回分割取得、残業免除ができることはうれしいことですが、そもそも在宅介護自体に無理があると思います。
実際、在宅介護で両親を見送った人は、「自宅介護は絶対に無理・・・、もう2度とできない・・」といいます。
しかし、年金だけでは暮らしていけない、年金が足りなくて施設に入ることができない人や家族は、たくさんいます。
本人と家族に、精神的にも経済面でも大きな負担がかかる在宅介護に、はたして「幸せな老後」があるのでしょうか。
安くて快適な施設で、不安のない老後を送れる社会を一刻も早くつくって欲しいですね。