親がホームに入所しなければ介護ウツに 高齢者の多くが認知症気味
高齢の親が老人ホームに入所したからと言って、すべての介護から解放されるわけではありません。
自宅で24時間介護している人にとったら、「甘い!」と言われそうですが、週末のホームへの訪問、ホームではできない身の回りの管理、お金の管理など、ホームに入所しても家族としてやるべきことは結構あります。
何かあれば、ホームから連絡があるので、身寄りのない高齢者以外は、家族が対応することになります。
親の遠距離介護
私の場合は、遠距離介護をしています。
週末ごとにホームに行き、母の身の回りの世話をする程度ですが、お金の管理、役所関係の手続きや、身の回りの必需品(尿漏れパッドや洋服など)の買い物など、毎回帰路はぐったりと疲れています。
そのうえ、多少認知気味の母に、訳の分からないことを言われると本当に辛く涙が出る時があります。
同居で24時間介護しているわけではないので、「私はまだまだ幸せな方」と言い聞かせてどうにかやっていますが、交通費など経済的なことも自分の生活に重くのしかかっています。
専業主婦ならもう少し時間が取れるのですが、フルタイムで仕事をしながら子供2人がいる主婦にとったら、休日は貴重な休みです。
貴重なお休みが、ほとんど介護で潰れてしまうのも辛いところです。しかし、自分の親なので、「辛い辛い」とも言ってられません。
老いた親を子どもが看るのは当たり前と言えば当たり前ですものね。
暴言などは、認知症が言わせていること。まともにとってはいけないのもよくわかっています。
介護の専門家に相談すると「病気だから聞き流して、がっぷり四つに組まないで、白黒はっきりさせないで、上手に対処して、たんたんと・・・」と正論ばかり言われます。
そんなこと百もわかっています。わかっているけど、それができないから辛いのです。
高齢者の多くは体の自由が利かなくなります。体だけならともなく、認知症気味になるので、自分で身の周りの事ができても、頓珍漢(とんちんかん)な発言が多くなり、難しいことの管理ができなくなります。
親の介護でストレスを溜めない私のやり方
私の場合の対処方は、介護から帰ってきたら、自分の本当の気持ちをノートに書き出します。
その時ばかりは、良い子を演じません。誰にも見せるわけではないので、本心を書き殴ります。
書いた後は、多少スッキリします(笑) 他に、良いアドバイスがあれば教えてほしいですね。(正論ではなく)
ホームに入所できたらかこれくらいのストレスで済んでいる
私の場合、母がホームに入所できたので、これくらいのストレスで済んでいると思っています。
これが、自宅に引き取って介護していたら、とっくに家庭崩壊か介護ウツになっていると思います。
自殺者は年々減る傾向にありますが、介護が原因で自殺する人は増えているそうです。
親が70代後半から100歳代の場合、子供は40代から60代、親が100歳の場合、70代になっています。
体が動ない親の身体介護の他、認知症になっていれば、言葉の暴力など精神的なストレスを抱え込みます。
また、介護が長引けば、経済的な不安もあります。そのようなことを一人で抱え込むと絶望感しかなく、自ら命を絶ってしまう気持ちは痛いほど分かります。
自殺までは至らないけれど、介護している人が体を壊したり、精神を病んでウツ病を発症したりする例は、とても多いと思います。
介護でウツ病や体を壊さない方法は、やはり親をホームに入所させることです。
介護はプロに任せる
身内だと許せないことも他人だからこそ許せる。こんな経験をしたことはありませんか?
私は、高齢の方にパソコンを教える仕事をしています。
高齢の方は、1回では覚えられないので何回も質問します。何回質問されても、「これは仕事だ」と割り切っているので、まったく腹は立ちません。
ところが、親が同じことを何回も繰り返すと、イライラするのです。
特に、色々なことができなくなって壊れていく親を見ているのは、自分の親だからこそ辛いのです。
これが、他人であれば、また、仕事であれば、そこまでイライラしないものです。
介護士やヘルパーは、介護のプロです。介護の知識が圧倒的に違いますし、介護のコツや高齢者の扱い方も慣れています。
高齢者は、初めは、子どもなどの家族に介護してもらうのが理想だと思っています。
ところが、高齢の親にとっても、喧嘩しながら介護してもらうより、遠慮しながら介護してもらうより、プロにやってもらった方がはるかにストレスにならないと言うことがだんだんと分かってきます。
身内であれば、ついついキツイ態度に出たり、声を荒げてしまうことがあるかもしれませんが、プロは仕事なので割りきりが違います。
それでも、介護の現場は辛いと思います。老人ホームで母のお世話をしてくれる方たちには、本当に頭が下がり感謝の気持ちでいっぱいです。
老人ホームがあるから、介護をしてくれるプロの方たちがいるから、私は、家庭崩壊や介護ウツを免れていると思っています。