胃瘻(胃ろう)対応可能な全国老人ホーム・施設
2020/08/08
老人ホームの受け入れ態勢は確認しておきたい事項の1つです。
その中に「胃瘻(いろう)」があります。
胃ろうとは、食べ物を飲み込めなくなった方に、栄養を摂る方法としてお腹に外から胃と直接つなぐ穴を開け、チューブ(胃ろうカテーテル) を通して栄養剤を注入する方法です。
「胃ろう」をしている方の受け入れは、専門的な知識と医療機関との協力体制が不可欠です。
栄養剤の投与や胃ろう部分のケア、数ヶ月ごとのカテーテルの交換、たん吸引などが必要になった時の緊急対応、さらに認知症の方が管を抜いてしまった時の対応など、医療機関と連携し介護を行います。
医療施設での定期的なケアや、24時間の看護体制など、胃ろう患者さんの受け入れるための体制を備えた施設を探す必要があります。
胃ろうとは
内視鏡を使って胃に開けた穴のことを「胃ろう」と言いますが、その穴からチューブで栄養を送り込むことを総称して「胃ろう」と呼んでいます。
口から食べられなくなった方、飲み込む力がなく「嚥下性肺炎)を繰り返す方に、胃に開けた穴から直接栄養分や水分を送り込み、生命を維持する「経管栄養法」の1つです。
口からの食事が摂れない期間が短いと判断された場合は、「胃ろう」より「鼻腔経管(経鼻栄養)」と言って、鼻にチューブを通して栄養を確保する方法が行われます。
胃に穴を開ける必要がないので、簡単に始めたりやめたりすることができるからです。
その他、経管栄養法として「中心静脈栄養」や「腸ろう」があります。
「中心静脈栄養」は、首の付け根の静脈より栄養素を送り込む方法で、こちらは血管に直接注入するため、胃ろうや経鼻栄養とは内容が異なります。
胃ろうのメリット
長期にわたり栄養を送り込むには、「胃ろう」が向いています。
鼻から栄養を摂る「経鼻栄養」より体の負担が少なく、介護する人の負担も少ないのがメリットです。
(※経鼻栄養の場合、頻繁にチューブの交換が必要です。また、チューブが細いため食事が詰まりやすく、送り込むのに時間がかかります。経鼻栄養の場合は、痰が出しにくくなります。)
経鼻栄養のように喉にチューブがないため、口から食べる訓練などが受けやすく、嚥下性肺炎のリスクを減らせます。
チューブが人目に触れないため(洋服などで隠すことができる)、外出しやすいと言うのもありますね。
胃ろうのデメリット
腸ろうと比べて食事が逆流しやすく、体力が低下している場合、合併症を起こしやすくなります。
胃ろう周辺の皮膚がただれることがあります。チェックを怠らず、患部をきれいに拭き、清潔に保つことが大切です。
また、半年に1度はカテーテルの交換が必要です。
胃ろう専用の栄養剤は比較的高額なので、経済的な負担がかかります。
胃ろうの手術・経過・費用
胃ろうの手術は内視鏡を使って行われ、手術時間も10分から30分程度と比較的短いので、患者さんの負担は少なく、入院期間も短くて済みます。
胃ろうの術後、問題なければ4日ほどで入浴ができます。
胃ろうの栄養剤は保険適用となりますが、流動食の形態によっては保険が適応されない物もあります。
また、施設では、胃ろうは「食事」とみなされますので、「食費」の部類に入ります。
他に、半年ごとにカテーテルを交換する費用が、数千円程度かかります。
胃ろうを延命療法とみるか?
胃いろうは食べられくなった方の生命をつなく手段の1つです。
数日なら栄養補給の点滴などで済ませることができますが、長期に渡る場合は、胃ろうが必要になります。
ただし、高齢者の場合は、延命処置の一環でもありますので、拒否することも可能です。
「人間は食べられなくなったら終わり」と言う考え方の方や、「無理して長生きしたくない」と思っている方は、「延命療法はしない」と言う意思表示をしている人が多いです。
また、逆に「命ある限りできるだけのことをして生きたい」、「生かせたい」と思っている方もいます。
しかし、本人の意思に関わらず、胃ろうで無理やり生かされているケースもゼロではなく、社会問題になることがあります。
高齢で食べられなくなったとき、胃ろうをするかしないかは、本人や家族の意見を尊重し守られなくてはいけません。
そこで、ホームに入所するとき「確認事項」として延命療法をするかしないかを求められた時、答えられるように家族と良く話し合い、自分の意思を伝えておくことが大切です。