住宅型有料老人ホーム・サ高住でも面倒見と条件は施設によってこんなにマチマチ
2017/08/31
老人ホームは、住宅型有料老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅、グループホーム、ケアハウス、老健、特別養護老人ホームなど様々な「くくり」があります。
病気になってもホームを出されることなく、気に入った施設に死ぬまで居たいと思っても、ホームの種類やサービス内容によってはホームを退去しなくてはいけないケースがあります。
施設の「くくり」によって「ルール」が鮮明に分かれていればよいのですが、最近、特にこの線引きがあいまいになってきています。
老人ホームのくくり
老人ホームと言われる中には、「介護付有料老人ホーム」と「住宅型有料老人ホーム」があります。
その他には、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」もそうですね。(※食事の提供やデイサービス併設など行う施設が増えたため、厚生労働省は、2015年7月から「サ高住」を有料老人ホームの一種として位置づけています)
老人ホーム | 概 要 |
介護付有料老人ホーム | 介護保険法に基づいた介護事業指定を受けた介護施設 |
住宅型有料老人ホーム | 外部の介護サービスを利用する介護施設とされていますが、デイサービスを併設している施設が増えているため、介護型老人ホームと同じくくりになりつつあります。 |
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | かつては、高齢者向けの設備やサービスがつけられた賃貸住宅でしたが、デイサービスなどを併設した「介護型老人ホーム」としての運営が増えています。 |
最近の「住宅型有料老人ホーム」は、居住者により良いサービスを提供するためデイサービスを併設している所が多く、入浴など身の回りの世話はデイサービスで済ますことができます。
しかし、この3つの老人ホームの境が利用者にとってはハッキリと分かりづらいですよね。
また、同じ「住宅型有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者住宅」でも、ホームによってサービスがかなり異なっています。
病気(認知症を含む)になったら出ていかなくてはならないホーム、病気になっても置いてくれるホーム、看取ってくれるホーム、看取りはできないホーム、この違いが同じ「くくり」の「住宅型有料老人ホーム」でも混在します。
サービス付き高齢者住宅(サ高住)も、施設によっては大規模デイサービスの運営を行っている施設もあり、インスリンなどの病気対応もOKと言う所が増えています。
「あ~、住宅型だからダメ、サ高住だからダメ」などと、「くくり」だけで決めてしまうと、せっかく自分の希望にあったホームなのに見逃してしまうことがあります。
ここでは、同じ「住宅型有料老人ホーム」なのに「サービスの内容はこんなに違った」ことについて、私の体験談を交えて比較してみたいと思います。
「ホームへの希望」をもって見学に
私と母は施設を選ぶ際、まずは、地元にどんな施設があるのか【老人ホームの検索サイト】でざっと調べ、その中でも希望地域と予算内のホームを洗い出し、パンフレットを送ってもらった後、見学にいきました。
※検索が苦手な方は、電話をすると希望の老人ホームの資料を送ってくれる電話無料相談もあります。
「シニアの安心相談室」
0120-523-982
数件のホームを見学したとき、同じ住宅型有料老人ホームでも、その内容に大きな違いがあることに驚きました。
母の希望は下記のようなものでした。
身の周りについて
- 食事を提供してほしい
- 入浴介助が必要(一人でお風呂に入れない)
- 洗濯・掃除などの家事
- 一人部屋(個室)
- 予算が合えばトイレ付
- 家族がいつでも泊まれること
病気と死に方について
- 万が一入院しても戻ってこれる
- 延命療法はしたくない
- 病院で死にたくない
- 最期を看取ってほしい
- 緑内障で失明の可能性があるので失明しても面倒を見てほしい
- 認知症になってもホームを移りたくない
このような母の希望がどれくらい受け入れてもらえるのか?
同じ住宅型有料老人ホームでも大きな違いに驚く
1件目に見学に行った施設A
施設Aの月額利用料は、105,000円から140,000円。
施設は最近できたばかりでとてもキレイで清潔。身の回りの希望についてはほぼ希望が叶いました。
見守りやナースコールもしっかりしているし、デイサービスも併設しているので、気に入りました。
ところが、目が見えなくなったり、認知症(程度にもよる)になるとホームを退去することになると言われました。
医療が充実していないので、病気になるとホームにいるわけにはいかないのです。
受け入れ条件の中には、要支援・要介護受け入れとありますが、詳しく話を聞かないと見えてこない部分があります。
ここは、母の希望に合わず、この施設は断念しました。
2件目に見学に行った施設B
施設Bの月額利用料は、110,000円。
ここは、母の希望をほとんど受け入れてくれるホームでした。全盲になっても、重度の認知症になっても最後まで面倒を見てくれます。
往診してくれる医師がいます。最期を迎えるときは、病院に入院することなく静かに看取ってくれます。
比較的安価な利用料なのに、居室は綺麗でスペースは広く、そのうえトイレ付でした。
デイサービスを併設しているので、そこでは毎日「足湯」のサービス(月額利用料内)もあります。
また、母が気に入ったところは、身内がいつ来て泊っていっても良いと言うことでした。
遠方に住んでいる私が頻繁に来て、泊っていくことを想像しているようです(汗
母は、この施設に決めました。
ただし、条件が良いだけあって満室。現在3人待ちということで、予約の受付を済ませて帰ってきました。
このように、同じ「住宅型有料老人ホーム」で同じような利用料なのに、サービスの内容はこんなに違うのです。
早めの対応で気に入ったホームに入れる
母の入居は、緊急性がなく「今すぐ」ではなかったのが幸いです。
早め早めに見学し、ホームを決めておくことで、希望のホームに入ることができると言うことを痛感しました。
緊急に入る場合は、わがままは言ってられず、金額も思ったより高めになることがあります。
早めの対策でより良いホームに入居できる可能性が高まります。
老人ホーム見学時に質問したこと
1.もし失明しても置いてくれるか?
2.もし認知になっても置いてくれるか?
3.もしガンになっても緩和ケアの対応してくれるか?
3.最期を迎えるときホームで静かに看取ってくれるか?
4.入院(短期)しても戻ってこれるか?
4.デイサービスでリハビリ(体操)はあるのか?
5.お風呂は週何回まで入れるか?
6.家族が泊まれるか?
7.部屋の掃除
8.洗濯
9.外出の付き添い
10.介護保険の枠を超えた場合のそれぞれの料金
など
介護保険の枠以外のサービスの料金は、ホームによって細かく設定されています。
例えば、お風呂は月額利用料では、週3回と決められていましたが、本人が希望した場合、実費はいくらか?
これは、ホームによってマチマチですが、母のホームは、1回500円でした。ちなみに、見学した他のホームは1回800円でした。
ちなみに、家族が宿泊した時、事前に申し込めば、家族の食事(有料)も用意してくれるホームもあります。これは助かりますね。
月額利用料の他、別途かかる費用
住宅型有料老人ホームには、月額利用料の他、その方の希望により介護保険以外の別途サービスを追加することができます。
その場合、何にどれだけかかるのか?を大まかに把握しておくと、月額利用料の他にいくら必要なのかが見えてきます。
ある施設Cのサービス利用料金です。(価格は2017年のもので変更される可能性があります)
サービス利用料金表(あくまで参考程度に)
内 容 | 単位 | 金額(円) | |
オムツ | 紙おむつ | 1袋 | 2,500 |
リハビリパンツ | 1袋 | 2,000 | |
ワイドパンツ | 1袋 | 1,500 | |
尿取パッド | 1袋 | 500 | |
日用品 | おしりふき | 1個 | 250 |
トイレットペーパー | 1袋 | 400 | |
ティッシュペーパー | 1袋 | 300 | |
歯ブラシ | 1本 | 200 | |
入れ歯洗浄剤 | 1箱 | 600 | |
衛生品 | 吸引チューブ | 1箱 | 100 |
手袋 | 1箱 | 220 | |
介護サービス | 病院の付き添い | 2時間 | 3,500 |
外出の付き添い | 2時間 | 3,500 | |
買い物代行 | 1時間 | 1,000 | |
入浴介助 | 1時間 | 800 | |
おむつ交換 | 1日 | 1,000 | |
食事介助 | 1日 | 1,000 | |
個室掃除 | 1回 | 1,000 | |
入院中の洗濯代行 | 1回 | 1,000 | |
入院時の付き添い | 2時間 | 3,500 | |
特別介護 | 1回 | 1,000 | |
嚥下食・大盛等特別調理 | 1か月 | 4,500 | |
レクリエーション | 参加費・材料代など | 実費 | |
体験 | 体験入所 | 1泊2日 | 3,500 (3食込) |
これは、あくまで一例ですので、価格はホームによって異なります。
各種加算対象額(あくまで参考に)
ホームや施設によっては、負担額を「単位」で表記している所もあります。
下記は、ある施設Dの利用料金表の加算対象額です。(※1単位は10.33円程度ですが、1単位の額は変更になることがあります。)
加算対象額 | 利用者負担額(1単位:10.33円) |
入浴加算 | 50単位/回(約516円) |
個別機能訓練 | 50単位/日(約516円) |
認知症加算 | 60単位/日(約620円) |
中重度者ケア体制加算 | 45単位/日(約465円) |
このように、介護保険で何を優先したいか、どんなサービスを実費で補いたいか、それは人によって違います。
介護保険で収まらないサービスは、きちんと金額を把握して、自分の予算内で収まるよう上手に利用したいですね。
ちなみに、母の住宅型老人ホームは、月額の費用は11万円ですが、そのほか、レクリエーションやヘルパーさんなどを利用しても多くて15万円で収まりそうです。
サービスを使いたいだけ使っている人でも18万円くらいで収まっているようなので、ホーム選びには、雰囲気の他、各サービス利用料金も頭に入れておくと良いですね。
私が親の老人ホームを決める際に、パンフレットなどを送ってもらったのは、【HOME'S(ホームズ)介護】です。
もちろん、パンフレットなどの資料請求は無料です。その後、しつこい勧誘電話などはかかってきませんでした。