入居一時金が返還されない 老人ホームの契約トラブル
老人ホームに入居する人は増え続けている現在、トラブルの報告も増え続けています。
その中で一番多いのが「契約・解約」に関するものです。
入居前に費用などお金に関することは十分に確認することで多くのトラブルが避けられます。
ここでは、トラブルの事例を挙げてなぜトラブルになってしまったのかを解説してみたいと思います。
なお、トラブルの事例は東京都の「有料老人ホームの契約トラブル防止のためのチェックポイント」を参考にしています。
お金に関するトラブル事例と注意点
トラブル① 入居を断ったのに入居申込金が全額返ってこない
入居前にキャンセルしたにも関わらず、申込金が返金されないホームもあります。入居申込金の取り扱いはホームによって異なります。
入居申込金を払う前に、内容や返金方法について確認しましょう。
トラブル② 入居後1年の退去なのに入居一時金がほとんど戻らない
入居一時金の返金額はホームによってまちまちです。ホームによっては入居時にすべて償却される(使い切る)場合もあります。この場合は、いつ退去しても戻ってきません。
入居後すぐに償却される初期償却費や償却期間(何か月たつといくら戻ってくる)など必ず確認しましょう。
入居一時金の計算等の確認が面倒な方は、入居一時金のないホームもあります。
入居一時金とは
入居金の支払い方法は、①一時金方式、②月払い方式、③選択方式などがあります。
入居一時金の金額は、主に長期の家賃相場額ですが、ホームにより異なります。入居一時金は、半年、1年、2年、3年などと一定期間で償却されます。
全額償却前に退去したり死亡したりした場合、一定額が返還されることがあります。
トラブル③ 夫が死亡したが短期解約特例制度が適応されない
契約書(重要事項説明書)には、「90日以内の契約解除のよる返還金について」記載することになっています。
死亡の場合の返金や90日ルールなどよく内容を理解してから入居しましょう。
「短期解約特例制度(90日ルール)」とは
入居金を一時金方式で支払った場合、90日以内に契約を解約した場合、利用期間分の利用料や原状回復費用を除いた一時入居金が返却される制度です。
トラブル④ 突然、月額利用料を値上げすると言われた
契約書(重要事項説明書)などの書類には、「月額利用料を改定について」記載することになっています。
月額利用料やその改定方法はホームによって異なります。思わぬ出費で困ることのないよう、事前に確認しておきましょう。
ホームを選ぶ前に確認しておきたいこと
ホームを選ぶ際には、立地や周辺の環境、経営方針、退去要件、経営状態、居室や共用施設、施設のレイアウトなど施設について詳しく確認しておきます。
介護・生活支援・食事・医療関連などの各種サービスや協力医療機関などの情報を集め、実際に体験入居をしてみることも大切です。