要介護認定の判定基準 更新時に要介護から要支援の格下げが多発
2017/07/14
介護認定の基準ってよくわかりませんよね。
介護認定の更新時に、今まで要介護1だったのが要支援2になるなどの格下げが多発している現状があります。
要介護認定ランクと身体・生活・認知機能
要介護度認定は、身体の状態により、自立、要支援1空、要介護1~5に分けらます。
最近は、高齢者の急増と介護費用の増大により、要介護度認定のランク評価は年々厳しくなってきています。
更新手続で、今まで「要介護」だったのに「要支援」に格下げされたなどの声も多く聞くようになりました。
要介護認定の区分と身体の状況
要介護度認定は、身体状況や生活機能に応じて、以下のような内容が目安とされています。
要介護認定ランクと身体の状況
自立
- 身の回りの世話が必要ないとされる状態
要支援1
- 居室の掃除や身の回りの世話の一部に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とすることがある。
- 排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
要支援2
- みだしなみや居室の掃除などの身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
- 歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある。
- 排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
要介護1
- みだしなみや居室の掃除などの身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
- 歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある。
- 排泄や食事はほとんど自分ひとりでできる。
- 問題行動や理解低下がみられることがある。
要介護2
- みだしなみや居室の掃除などの身の回りの世話の全般に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする。
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする。
- 歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とする。
- 排泄や食事に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とすることがある。
- 問題行動や理解低下がみられることがある。
要介護3
- みだしなみや居室の掃除などの身の回りの世話が自分ひとりでできない。
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作が自分ひとりでできない。
- 歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分でできないことがある。
- 排泄が自分ひとりでできない。いくつかの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。
要介護4
- みだしなみや居室の掃除などの身の回りの世話がほとんどできない。
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作がほとんどできない。
- 歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分ひとりではできない。
- 自分では排泄がほとんどできない。多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。
要介護5
- みだしなみや居室の掃除などの身の回りの世話がほとんどできない。
- 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作がほとんどできない。
- 歩行や両足での立位保持などの移動の動作がほとんどできない。
- 自分では排泄や食事がほとんどできない。多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。
上記は、あくまでも介護ランクの目安とされている内容で、正式には訪問調査、主治医意見書、1次判定・2次判定を経て決定されます。
要介護認定の調査内容
介護保険(要介護・要支援)認定申請書が提出されると、調査員が自宅を訪れ、本人の身体機能や生活機能、認知機能などについての調査を行います。
高齢者の方の場合、「人に迷惑をかけたくない、できないと思われたくない」という気持ちから、「できないことをできる」と言ってしまう傾向があるので注意が必要です。
そのような傾向があるときには、家族から調査員にしっかり伝える必要があります。
要介護認定の調査内容
介護保険(要介護・要支援)認定申請書があると、家庭を訪問して介護者の身体機能や認知能力、病気などについての調査が行われます。
第1群 身体機能・起居動作
高齢者の麻痺、拘縮、寝返りといった基本的な動作や、起居に関する能力を把握します。
1-1 麻痺等の有無(左上肢、右上肢、左下肢、右下肢、その他(四肢の欠損))
1-2 拘縮の有無(肩関節、股関節、膝関節、その他(四肢の欠損))
1-3 寝返り
1-4 起き上がり
1-5 座位保持
1-6 両足での立位保持
1-7 歩行
1-8 立ち上がり
1-9 片足での立位
1-10 洗身
1-11 つめ切り
1-12 視力
1-13 聴力
第2群 生活機能
生活維持に必要な機能を確認し、生活上の障害に対する介助の状況を評価します。
2-1 移乗
2-2 移動
2-3 えん下
2-4 食事摂取
2-5 排尿
2-6 排便
2-7 口腔清潔
2-8 洗顔
2-9 整髪
2-10 上衣の着脱
2-11 ズボン等の着脱
2-12 外出頻度
第3群 認知機能
認知機能の程度を確認します。
3-1 意思の伝達
3-2 毎日の日課を理解
3-3 生年月日や年齢を言う
3-4 短期記憶
3-5 自分の名前を言う
3-6 今の季節を理解する
3-7 場所の理解
3-8 徘徊
3-9 外出すると戻れない
第4群 精神・行動障害
認知症等による行動障害の有無と程度を、確認します。
4-1 物を盗られたなどと被害的になる
4-2 作話
4-3 泣いたり、笑ったりして感情が不安定になる
4-4 昼夜の逆転がある
4-5 しつこく同じ話をする
4-6 大声をだす
4-7 介護に抵抗する
4-8 「家に帰る」等と言い落ち着きがない
4-9 一人で外に出たがり目が離せない
4-10 いろいろなものを集めたり、無断でもってくる
4-11 物を壊したり、衣類を破いたりする
4-12 ひどい物忘れ
4-13 意味もなく独り言や独り笑いをする
4-14 自分勝手に行動する
4-15 話がまとまらず、会話にならない
第5群 社会生活への適応
地域での社会生活を維持するために必要な能力や、介助の状況を確認します。
5-1 薬の内服
5-2 金銭の管理
5-3 日常の意思決定
5-4 集団への不適応
5-5 買い物
5-6 簡単な調理
その他 過去 14 日間にうけた特別な医療について
医療を受けている状況について、確認します。
1. 点滴の管理
2. 中心静脈栄養
3. 透析
4. ストーマ(人工肛門)の処置
5. 酸素療法
6. レスピレーター(人工呼吸器)
7. 気管切開の処置
8. 疼痛の看護
9. 経管栄養
【特別な対応】
10. モニター測定(血圧、心拍、酸素飽和度等)
11. じょくそうの処置
12. カテーテル(コンドームカテーテル、留置カテーテル、ウロストーマ等)
参照資料:要介護認定 認定調査員テキスト2009改訂版(厚生労働省)
※厚生労働省が、介護認定の調査員がどのような視点で訪問調査を行うかが書かれた、「要介護認定認定調査員テキスト」を公表しています。
とても参考になる資料なので、一度読んでおくことをおすすめします。
要介護のランク認定について
要介護認定は、訪問調査結果と主治医の意見書のデータをもとに、コンピュータで一次判定を行います。
コンピュータを使う理由は、客観的で公平な判定を行うためです。
さらに正確な判定を行うため、保険医療福祉の学識経験者5名で、二次判定の審査が行われ最終的な要介護認定のランクが確定します。
要介護度が決定すると「認定通知書」と「被保険者証」が発行されます。介護申請から認定を受けるまで、原則30日以内で行われます。
要介護認定が決まったら、居宅介護支援事業所と契約し、ケアマネジャーとの話し合いながら「ケアプラン」を作成、介護サービスを受けることができます。