なぜ下流老人になるのか?老後の貧困は他人事ではない
2016/09/08
下流老人と言う言葉を耳にするようになりました。下流老人とは貧困高齢者をさし、普通に暮らすことができず下流の生活を強いられる高齢者の事を言います。
高齢者の貧困はNHKの特集(NHKスペシャル)でも時々取り上げられ、今や社会問題になっています。
老後の生活に不安を抱えている人は年々増加の一途をたどり、「老後の資金は十分」と思っている人はたったの3.6%、つまり100人に3人ほどになります。
残りの97人は老後への蓄えが十分ではなく、この先何年生きるのか先が見えない状態で不安を抱えています。
人が貧困高齢者になるにはある程度決まったパターンがあるようです。誰でもちょっとしたきっかけで貧困高齢者になる可能性があると言うことですね。
貧困高齢者に陥る4つのパターン
1.ケガや病気でお金がかかる
2.熟年離婚
3.子どもが引きこもりで親が面倒を見ている
4.老人ホームに入居できない
病気になりお金がかかる
まず、高額医療費です。保険治療では、月当たり既定の金額を超えた場合、医療費が戻ってくる制度があります。(※既定の金額は収入や年齢によって違ってきます。)
医療費が戻る制度がありますが、これは医療費のみで、ベッド代や食事代、その他アメニティ(寝具やタオル)などに、別途お金がかかります。
また、保険の利かない高額治療が必要だったり、慢性的な病気にかかり継続的に治療が必要になったり、人の手が無ければ生活できないようになれば、ますますお金が必要になります。
私の母は86歳で、大腿骨頸部骨折をし人工骨頭を入れる手術を受け、1か月ほど入院。その後、リハビリ病院に3か月ほど入院し機能訓練に励みました。その後、足の不自由な暮らしで移動はほとんどタクシー。高額医療費は戻ってくると言っても、それなりのお金がかかるようになりました。
ガンで保険のきかない特別な治療を受けている知人の高齢者は、月々数十万円かかるそうです。
熟年離婚
定年退職後に離婚するケースです。妻は夫の退職金の半分貰って離婚しても、離婚前と比べると生活レベルが落ちるケースが多いです。
また、夫も妻と分かれた後、外食費がかさんだり、趣味にお金を費やしたりと貯金を減らしてしまうケースが多くあります。
子どもが引きこもりで親が面倒を見ている
子どもが40歳になっても引きこもりで働かず、親の年金をあてにするケースです。少ない年金から自分の老後の他、子供まで面倒まで見なければならず、貧困に陥るケースです。
引きこもりの45歳の男性が80歳の母親と無理心中を図る事件など、引きこもりが高齢化しつつあります。
引きこもっていた子供が高齢化し、親の面倒を見なければいけない逆のパターンになったとき、介護するお金も施設に入所させるお金もなく、行き詰ってしまうケースが増えています。
老人ホームに入居できない
特別養護老人ホームなど経費が安い公的施設に入居できれば良いのですが、特老は皆さんもご存知の通り待機者がいっぱいですぐには入れません。
1人で暮らせなくなり、民間の老人ホームに入所するも年金だけでは賄えず、貯金を切り崩すうちに破産してしまうケースは多々あります。
上記は一例で、病気、失業、借金、離婚、介護・・・貧困に陥る要因はそれが複雑に絡み合っていることがあります。今や「普通の老後」を送るのさえ難しくなっているのかしれません。
一昔前日本では、高齢者は「豊か」とされてきました。ところが、核家族が当たり前になり、被雇用者が3割以上になると、親は子供に頼ることができなくなっています。
子どもたちも「子供の教育費」などにお金がかかり、「自分たちの生活で精一杯」と言う家庭が圧倒的に多いのです。
貯金と年金が頼りの老後は、よほどの資産がない限り、慎ましやかに暮らすことになりそうです。