人工透析が必要な人が老人ホームを選ぶときの4つのコツ
人工透析を受けている人が、老人ホームを探して一番困ること、それは受け入れてくれる施設が少ないことです。
人工透析の患者さんを受け入れるには、透析を受ける医療機関と、透析患者さんを受け入れる施設の体制があって、はじめて受け入れ可能となります。
これまで利用した透析センターの近くに老人ホームがあれば良いのですが、なかなか見つからなこともあります。
人工透析を受け入れてくれる、または相談に乗ってくれる老人ホームは、老人ホームの検索サイトに掲載されている各老人ホームの「介護・医療体制」で確認することが出来ます。
また、「人工透析受け入れ可能」としている施設でも、透析センターへの通いは自費対応としている施設もあります。
人工透析可能としている施設でも、フォローしてもらえる内容や体制に大きな差があります。
そこで、「人工透析」を受けている方が、老人ホームに入居する場合、どんな点に注意して選べばよいかを、まとめてみました。
①医療機関との連携体制や透析対応をチェック
人工透析の方が、最も安心して入れるのは、医療法人が運営母体となっている老人施設です。
医療法人が透析装置を持っていることも多く、介護から医療、看取りまで一貫してサービスが受けることができます。
一般的な老人ホームでは、連携・協力関係にある医療機関名や診療科で判断することができます。(※「老人ホーム重要事項説明書」でも確認することができます)
※あるホームの「老人ホーム重要事項説明書」参照
協力医療機関に該当する診療科がない場合でも、「人工透析患者受け入れ可」としている施設があります。
そのような場合、施設側で透析に関する情報をもっていますので、相談してみてください。
②透析施設までの送迎をチェック
大きなポイントとなるのが、透析を受ける施設までの交通移動手段です。
施設から透析センターまで、無料の送迎バスや透析センターのシャトルバスが運行されている施設を選ぶとより安心ですね。
交通手段がない場合、週3回の透析治療の交通費は自費負担となってしまうからです。
例えば、自費でタクシー往復2000円の場所にある透析センターに週3回通うとすると、週に6000円、月に2万4000円もかかることになってしまいます。
将来、身体が動かなくなったり、着替えができなくなったり、認知症になったりすると、付き添いが必要になり、さらに負担が大きくなってしまいます。
年齢を重ねるごとに、介護サービスの他の費用も高くなってくるため、交通手段や病院への付きそいなどの間接的な費用はできるだけ安く押さえておきたいですね。
「人工透析受け入れ可能」としている施設でもこのように大きな差がありますので、具体的にどのような体制があるのかを、しっかり確認してください。
③透析食の対応をチェック
透析治療を受けている人にとって、食事の管理は絶対的な条件となります。
透析患者の方は、タンパク質、塩分、カリウム、リンなどの摂取制限をしなければなりません。
タンパク質は、摂りすぎると体内に老廃物が溜まり、人工透析で除去しきれなくなり、シャントに大きな負担をかけます。
塩分の摂りすぎは、体内の水分量を増やし、高血圧となり血管に負担をかけることになってしまいます。
タンパク質を摂りすぎると、体内に老廃物が溜まり、人工透析で除去しきれなくなり、シャントへの負担が大きくなります。
カリウムを摂取しぎると高カリウム血症となり、不整脈・頻脈が起こることもあるので注意が必要です。
リンは、血管の石灰化や動脈硬化、かゆみを引き起こし、シャントの狭窄や閉塞、感染症へのリスクを高めてしまいます。
このように、透析患者の食事は、緻密な管理が必要となるのです。
理想は、栄養士が常駐していて、医師の指導に合わせて個別に調理してくれることです。
個別調理でなくても、減塩食、糖尿病食、透析食、高脂血症食、腎不全食、などの病気に応じたメニューを用意している施設もあります。
また、施設によっては、外部の透析食を利用するなど、食事の管理はさまざまです。
透析患者にとって、食事の制限は命に関わることです。どんな内容の食事で、どんな体制で対応してくれるのかをしっかり確認してください。
④施設側の介護体制をチェック
透析患者の場合、介護においても注意が必要なことがいくつかあります。
水分の管理
絶対的に管理しなければならないのは水分摂取量です。
朝晩2回の体重計測で水分量を推測し、大きな変化があった場合には、すぐに対応する必要があります。
高齢になったり認知症を発症するようになると、自分で水分管理を行うことができなくなります。
そのような場合、1日の水分量や排出量をチェックして、厳重にチェックする体制が必要となります。
シャントの管理
透析患者にとってシャントは、透析を行うための身体の重要な出入り口です。
シャントがうまく作用しないと透析ができなくなってしまうため、新しいシャントを作る必要があります。
毎日シャントがきちんと機能しているのか、血液の流れをチェックすることが必要となります。
看護の体制
看護師が24時間常駐している施設なら、シャント部からの感染、透析後の出血、痛みなどがあった場合、すぐに対応してくれるので安心です。
また、体調が急変した場合、提携医療機関と迅速な連絡をとり対応する必要があります。
このように、透析受け入れ可能としていても、施設によりかなり体制が違っています。
老人ホームの受け入れ体制は、「介護医療・医療体制」や、有料老人ホーム重要事項説明書にまとめられていますので必ずチェックしてください。
透析受け入れ可能な全国の老人ホームはこちらでご紹介しています。