自分の年金と貯金額に見合った老人ホームの金額 いくらなら大丈夫?
そろそろ親や自分が老人ホームを検討する時期になったとき、月額いくらまでなら払い続けられるか?
月額10万円まで?月額15万円まで?月額18万円くらい?と頭の中でおおまかに計算して、本当にこの金額を死ぬまで払い続けられるのか心配に思う方、とても多いと思います。
こんなに生きるはずじゃなかった
私の母は90歳で現在、住宅型老人ホームに入居しています。
そんな母がいつも口にすることが「こんなに生きるはずじゃなかった。80歳くらいで死ぬかと思ってた。」です。
このセリフ、私の母だけではなく、90歳くらいの方から良く聞くセリフです。
そんな方たちは、まだまだ貯金ができる中高年時代に、「80歳くらいまで生きられたらそれで良し」と思っていたそうです。
その寿命に何の根拠もないのですが、それくらいで死ぬと思っているので、それくらいまで生活できるお金を用意しておけば何とかなると思っていたそうです。
たぶん、当時の女性の平均寿命が80歳くらいだったので、漠然と80歳と言う数字で人生設計をしたのだと思います。
いまさら「人生100年時代」と言われても・・・と言うところが本音ではないでしょうか。
しかし、これは怖い思い込みですね。
と言うのは、余命宣告された人以外、人は何歳まで生きるかなど誰も分からないからです。
でも、「分からない」で済ませてしまっては、老人ホームを予算を決めることはできません。
そこで、人生100年時代、80歳の女性を例にとり老人ホームの月額費用を算出してみました。
ある80歳女性の老人ホームの月額費用算出
期間:20年間(100歳まで生きると仮定する)
貯蓄額:約2,000万円
年金:約6万円
一時入居金:0円
入院などで高額医療の出費:0円
80歳までは自宅(持ち家)で生活していたと仮定します。
単純に計算すると・・・
貯蓄の2,000万円を20年間で割る⇒1年間で100万円⇒1ヶ月で8万3千円
貯蓄で賄えるのは1ヶ月83,000円となります。
そこに月額6万円の年金と足すと、使える金額は、月額143,000円と言う数字が出てきます。
この金額を元に、老人ホームを選ぶことになります。
公的な特養(特別養護老人ホーム)の場合は、介護費等が含まれますが、民間の一般的な老人ホームは入居にかかるお金(住居費、光熱費、食費など)以外に、介護にかかるお金や生活雑貨(シャンプー、洗剤、トイレットペーパーなど)は別途料金が必要になります。
また、介護度が進み、オムツなどが必要になった場合、その費用も別途かかります。
老人ホームにかかるお金の他、最終的に3万円ほどかかると仮定すると、老人ホームの月額費用は、143,000円から3万円を引いた金額、113,000円が妥当と言うことになります。
入居時は、介護度が低くそれ程の負担はありませんが、年齢が上がるに従い介護度が上がるとそれなりにお金がかかってきます。
80歳の国民年金のみの女性が100歳まで生きたとすると、貯蓄が2000万円あったとしても、月額11万円ほどのホームを選ぶのが妥当と言うことになりますね。
今回の算出は、入居一時金がかからないホームで、なおかつ、高額医療を必要とする治療を受けないと仮定しての話です。
この金額は結構ショックですね。民間で月額11万円の老人ホームを都心で探すのは現状では難しいです。この場合、都心から離れたホームを検討するしかありません。
80歳の時点で2000万円の貯金があっても、80歳から100歳まで20年間ホームに入居するのはかなりのお金がかかることが分かります。
では、私たちはどうすれば良いのでしょうか?
解決策 老人ホームにいる時間を極力短くする
解決策の1つとして、「老人ホームにいる期間を極力短くする」ことです。
80歳でも自分のことが自分でできる場合、ぎりぎりまで自宅で生活し、介護がなければ生活できなくなった段階でホームに入居します。
介護度で言うと、「要介護2」くらい、年齢でいくと、90歳に近づいてきた頃でしょうか。
ケアマネさんによると「皆さん90歳の声を聴く(90歳に近づく)と、ホームを検討し出すようです」と言います。
つまり、90歳近くまで頑張って自宅で生活すれば、100歳まで生きたとしても老人ホームにかかる費用は10年間と言うことになります。
自宅で暮らす10年間も貯金は目減りするかと思いますが、ホームに入居しているより安く抑えることができます。
長生きするのも楽じゃない
私の母が良く口にする言葉、「長生きするのも楽じゃない」。
これが現実かもしれません。