高齢者虐待の実態 虐待は息子がトップ、次が夫 厚生労働省調査
高齢者の虐待や介護殺人が話題になる中、厚生労働省は、家族間の高齢者虐待について調査を行いました。
調査の内容(数値など)は、厚生労働省の調査結果を参照し、まとめたものです。
家族間(保養者)の高齢者虐待は、平成23年度までは増え続ける傾向にありましたが、虐待と判断されるケースが24年度から多少落ち着いたように見えます。
このまま急激に伸び続けると思いきや多少落ち着いたのは、老人ホームや施設のお世話になる高齢者が増え、家族の負担が減ったからなどの理由が考えられます。
また、老人ホームを利用することに対しての抵抗が少なくなってきたことも考えられます。
しかし、日の目の当たらないところでは、まだまだつらい思いをしている高齢者や家族がたくさんいるような気もします。
高齢者虐待で一番多いのは息子
厚生労働省の調査によると、一番虐待が多いのが、高齢者の息子(40.3%)と約4割に当たります。
家族間でみた虐待の多い続柄
1位 息子 4.03%
2位 夫 19.6%
3位 娘 17.1%
4位 息子の妻(嫁)5.2%
5位 妻 5.1%
6位 孫 4.2%
7位 兄弟姉妹 1.9%
8位 娘の夫 1.8%
9位 その他 4.7%
虐待の相談や通報は
1位 介護支援専門職(ケアマネ・ヘルパー等)30%
2位 警察 15.2%
3位 家族・親族 10.4%
の順です。
虐待の要因は
1位 『介護疲れ・介護ストレス』 23.4%
2位 『介護する人の障害や病気』 22.2%
3位 『経済的困窮』(16.1%)
の順です。
虐待で一番多いのが「息子」次に「夫」と続きますが、家事や人の世話に不慣れな「男性」が、親や妻を介護するストレスが相当大きいと想像します。
認知症になると、一番お世話をしてもらっている近親者に対して、暴言を吐いたり、乱暴を働いたりするケースもあり、介護をしている近親者にとってはツライところです。
高齢者の虐待の内容
虐待の種類では、
1位 身体的虐待 66.9%
2位 心理的虐待 42.1%
3位 介護放棄 22.1%
4位 経済的虐待 20.9%
虐待の深刻度は、
1位 生命・身体・生活に著しい影響 33.6%
2位 生命・身体・生活への影響や本人意思の無視 31.3%
3位 生命・身体・生活に関する重大な危険 8.6%
3位の重大な危機は、介護殺人に至るケースなどが含まれると思います。
虐待を受ける高齢者の男女比
女性 77.4%
男性 22.6%
年齢では
80~84歳 23.8%
75~79歳 21.1%
要介護認定では
認定済み 67.1%
介護度では
要介護1 22.1%
要介護2 22.0%
要介護3以上 39.5%
高齢者の要介護度が重い場合、虐待の深刻度が高くなります。
認知症への虐待は、要介護認定者における認知症日常生活自立度II以上が69.9%と7割を占めています。
高齢者が寝たきり度が高い場合、虐待の深刻度も高くなります。
高齢者虐待の対策
虐待の報告を受けた市町村の対応は、虐待を受けている高齢者と保護者の分離(31.2%)が挙げられます。
その中でも
1位 介護保険サービスの利用 17.6%
2位 医療機関への一時入院 16.4%
です。
分離させないケースでは
介護者に対しての助言と指導 51.4%
ケアプランの見直し 25.9%
などがあります。
ただし、助言と指導などのアドバイスだけで本当に解決できているのかは疑問が残ります。
介護者のストレスを本当の意味で軽減させるのは、サービスの利用(デイサービスやヘルパーの利用)や老人ホームや介護施設への入所などが必要なのではないのでしょうか?
また、高齢者の虐待は家庭だけで起こるわけではなく、老人ホームや介護施設でも問題になっています。
ホームや施設に入所の際は、しっかり見学をして、職員の様子や雰囲気を見極めることも大切です。